迫りくる若ハゲの恐怖

男性の方なら一度や二度は若ハゲ,いわゆるAGAについて考える機会があるのではないだろうか.私はある.人生で初めて若ハゲの恐怖とご対面したのは大学2年生のころ.風呂上がりに,ふと自分の前髪の生え際を見てみると,無い.確実に毛が無くなっている.これまでの人生を寄り添い歩いてきたマイベストフレンドが突如として失踪した.終わりはいつも突然やってくる.

ベルタヘアローション

現実は残酷なものである.弱冠二十歳の自称好青年に対してこんなにも無慈悲な仕打ちを仕掛けてくる.その後小一時間ほど,あらゆる角度から自分の生え際を確認したのちに,「まあベジータよりはマシだな」という謎の結論に至った.というか至るしかなかった.若ハゲの恐怖に直面するには,その少年は若すぎた.それからの日々はなるべく自分の生え際を見ないように過ごした.しかし,怖いもの見たさでしばしば自分の生え際を見たくなる時がある.

その少年は再び恐怖に直面し,畏怖する.確実に進行している.ロシア遠征に赴くナポレオン率いる軍隊の如く,ローマ軍に立ち向かうハンニバルの如く,私の生え際は勇敢に,一糸乱れず進んでいった.「さすがにこれは手を打たないと取り返しのつかないことになるな.」本能がそう言っていた.すぐさまAGAの治療薬(発毛剤)を購入し,これ以上の進軍を拒むことを試みた.

AGAの治療薬では産毛こそ生えるが,一人前と言えるほどの立派な毛は生えてこない.だが,生え際が後退しないだけでも御の字である.これからもこの生え際との闘いをどちらかが諦めるまで続けることになるが,先方が諦めることはないだろう.こういう絶望を積み重ねて,人は大人になっていくのであろう.

ブックマーク パーマリンク.

コメントは受け付けていません。